作風
『髪結いの亭主』とか『仕立て屋の恋』で知られる映画監督のバトリス・ルコソト。
そのとぼけたような作風はもちろん、本人のちょっとインテリっぽい、けれどインテリを小馬鹿にしたような風貌が好きでこれまで私は彼の作品を欠かさずに見てきた。
さて、その最新作『リディキュール』が間もなく日本でも公開される、という時期に私はたまたまデスクトップ仮想化中だったのだが、私のルコント好きをよく知る友人の一人が「ねえねえ、ルコソト見たい?」と、ある日唐突に尋ねてきた。
何でも『リディキュール』のプロモーショソのために彼が来日中で、近々広尾のフランス大使館公邸にて、新作発表の記者会見があるのだ、という。
そのような場に、招待状のない私なんかが簡単に入れるものだろうか、と思ったが、大丈夫、任せといて、と彼女は余裕の顔。
ともかくも多少は業界に顔のきくらしいその友人の後について、雨のしょぽしょぽ降る夕刻、私は会場へと向かった。
フラッシュがパシャパシャと光り、入口付近まで立ち見の記者たちであふれ返る満員御礼のその会場は、閉め切りということもあり、何しろとても暑かった。